2005年08月23日

忘却の河/福永武彦

私の最愛の本。

忘却の河
忘却の河
posted with amazlet at 05.08.23
福永 武彦
新潮社 (1969/04)
おすすめ度の平均: 5
5 完璧な小説
5 ストーリー構成力がすばらしい!!


福永武彦がそんなに一般的にはメジャーでは無いのに、なぜ数ある本から選んで買ったのか。
多分、題名が良かったんだと思う。
18歳の時にこの本に出会い、私の最愛の本となった。何度読み返しただろう。

ある台風が過ぎた翌日、水溜りをよけ損ねて態勢を崩した主人公の目に入って来た、太陽の光を反射し濡れたビルの窓、窓、窓。
『おまえを見ているよ』
かつて関わりがあった、戦友の死んだ時の目とオーバーラップする。そして情景が過去にスリップする。

若い頃の愛する人との出会いと別れと死。
過去の罪の意識とあいまって、主人公の現在のどうしようもない苦悩。

まるで映画を見ているように、ある瞬間ふとしたことから過去を思い出す。
そのあとに続く、主人公の妻の話もとても良い。

文体も今の小説のように軽々しくなく、けれどかつての情景がみずみずしく描かれる。
過去の想い出を心に描き、過去の罪を背負いながら、その延長に生きていくという哀しさが本当に伝わる。

多分私にとってこれ以上の本は見つからないと思う。


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