2005年09月20日

脊梁/松本清張

かなり前、20年近く前かもしれない。

ある2時間もののサスペンスドラマを見て、そのどんでん返しと人間の心理が印象深く、
未だに、そのドラマを断片的に覚えている。

ずっと原作を読んでみたいと思っていたが、題名はわからなかった。
わかるのは、作者は松本清張ということ。

『ゆきむすめ』に続き、ネットでその題名を探し出した。

『脊梁』という題名の短編で、文春文庫の『ベイルート情報』という本に納められていた。

『ベイルート情報』は廃刊になっていて、楽天フリマで購入した。

読んだ感想は、殺人事件が起こり犯人が逮捕され、アリバイを握る恋人の周辺と、その後の長年の弁護活動と裁判とが、淡々と綴られていて、ドラマで見た劇的な内容ではなく、あっさりしていてちょっとがっかりした。

ドラマは、清水健太郎と池上季実子が主演の恋人役。
池上季実子が、恋人の清水健太郎の家に泊まった晩に、近所で殺人事件が起きた。

清水健太郎が犯人とされ、逮捕された。
しかし、裁判を続けても一緒に夜を過ごした池上季実子のアリバイ証言があり、どうしても有罪にならなかった。

しかし、池上季実子にはどうしても気になる点が一つあった。
清水健太郎の家に入る前に下駄を揃えておいたのに、朝起きると脱ぎ散らかしてあった事。
問うと、清水健太郎は夜中にトイレに行ったと言った。
彼女はそれを信じ、『彼とずっと朝まで居た』と言い続けていた。

長い裁判の間、池上季実子は清水健太郎を忘れずに面会に通った。
結局最高裁まで争う事になったが、結局池上季実子の証言がありアリバイが崩れず、清水健太郎は無罪がほぼ確定しようとしていた。

裁判を控えたある日、いつものように池上季実子が面会に行くと、清水健太郎との面会を終えた見知らぬ若い女性とすれ違った。

面会を終えた池上季実子に、刑事は皮肉な笑いを浮かべて囁いた。

『池上季実子さんも気の毒ですね。さっきすれ違った女性は、清水健太郎さんの無罪を支援している方で、無罪が確定したら結婚する約束をされているそうですよ。あなたは利用されているんですよ。』

最後の裁判で、池上季実子は証言を再度確認された。
いつものように『一緒に居た』と証言するであろうと、誰もが思っていた。

ところが、
『実は、私は隠してました。朝起きると、そろえたはずの履物が脱ぎ散らかされていたのです。』と池上季実子。
『なぜだー!』と叫ぶ清水健太郎。

結局、清水健太郎は死刑となった。

それから数年後、1人で生きて行く池上季実子は保険レディになって、新興住宅地をセールスに歩いていた。
ある大きなお宅のチャイムを押すと、その家から出てきたのは、清水健太郎の面会ですれ違った女性。

お互いに驚き、家に招き入れられた池上季実子に彼女は、
『池上季実子さん、どうしてあの時、証言を翻したのですか?
清水健太郎さんは、無罪が確定したらあなたと結婚するんだ、と嬉しそうに言っていましたよ。』

結局、彼女は単なる支援者で文通相手だった。
池上季実子は刑事にまんまと引っ掛けられたのだった。

夏の暑い日、ゆらゆらとしたかげろうの中、池上季実子が呆然と歩くシーンで終わっていた。

このドラマは犯人が誰かは結局断定しなかった。
重要なのは池上季実子の証言で、清水健太郎の死刑が確定した事。
それは、小説も同じだった。

池上季実子の証言がこの事件の『脊梁』(背骨・脊柱)ということだ。

ドラマと小説の違いは、その後の支援者との再会部分。小説には無かった。
でも、この部分があったからこそ、より池上季実子の衝撃が伝わり、とても印象に残っているのだと思う。

もう一度、見てみたいドラマだ。
この記事へのコメント
はじめまして。検索で辿り着きました。
このドラマ私も見ました!
ずっと気になっていたドラマです。
池上季実子と清水健太郎が出ていた事まで憶えていたのに、
実はついさっきまで土曜ワイド劇場だったと記憶違いをしていた為に今まで調べてもタイトルを突き止められずにいました。
今日、久々に思い出して調べたらようやくわかった次第です。
もしこれが一週間前だったなら、このブログに辿り着く事もなくわからないままだったんだと思い、なぜか感激してしまいました。
長年のもやもやがついにすっきりしました。
どうもありがとうございました!
Posted by リルヲ at 2005年09月26日 23:08
リルヲさん、はじめまして。
私もずっと探してました。
”池上季実子 清水健太郎 サスペンス”というキーワードで検索して、
マジで「やられた」と思ったミステリを語ろうか(2ちゃんねる)http://book.2ch.net/mystery/kako/1006/10062/1006226500.html
(↑直接アドレスを打つと見られます。)
を発見してようやく”脊梁”という題名がわかりました。
そのカキコミを読んだ時はとにかく感激しました。私もその人に感謝、感謝です!
Posted by mokorin at 2005年09月27日 15:49
私も探してました!!高校二年の時に見て、あまりにも最後の結末が印象的だったので鼻息荒く翌日学校で友達に一気に話したのを覚えています。22年程前です。あのころはパソコンもなく、あらすじはもちろんですが、主役の二人と字一文字か二文字のタイトルだったことしか記憶になく、原作を読んでみたくて。今、ふとネットでわかるかな?と思いつき、ようやくスッキリしました。
私も再放送が見てみたい。つまらないシリーズ物よりよっぽど素晴らしい作品だったと思います。しかし、ぐずぐずしている間に「火サス」は終わってしまいました。ぜひぜひ昔の傑作として再放送を!!
Posted by ロケラニ at 2006年01月04日 23:13
ロケラニさん、こんにちわ。
お返事遅くなってすみません。

実は5日にNTVにメールしたので、そのお返事が来てから、、と待っていました。
けれど。。。お返事来ませんでした。

火サス初のDVD化!で昔の作品もDVD化されているみたいなので、今後に期待したいと思います。

20年以上のドラマなのに、共感できる方が居て嬉しいです。
Posted by mokorin at 2006年01月12日 09:52
かなりタイムログがあるコメントですみません。
私も、この脊梁のインパクトは大〜いやいや絶大なのです。
火サスは、ずっと観てたのですが、他のストーリーはもう遠い昔のことですし、忘れてしまってるのでが、この脊梁だけは、鮮明に覚えているのです。
特にラストの池上季実子さんと陽炎のコラボの場面は・・・。
もう一回観たいですね。
でも、ホントのずいぶん昔のことなのだなと、コメントを書いててつくづく思いました。
今となっては、清水健太郎出演番組は、放映されないのでしょうか?
CSとかで昔のドラマはよくやってますけどね。

Posted by ロキ子 at 2008年03月05日 18:34
ロキ子さん、こんにちは。

コメントは無いですが、このページを見てくださる方は結構いらっしゃるんです。
やっぱり心に残る良い作品は共通なんだなぁと思います。

最後の陽炎のシーン、印象的でしたね。
確か池上季実子さんは白い日傘を差して歩いていたような。

それと思い浮かぶのが、朝池上季実子さんが起きた時に土間に散らばったサンダル?草履?下駄?のシーンです。

本当にもう一度見たいですね。
今でも充分通用する内容ですから、きっと新たなファンが増えるはずです。
Posted by mokorin at 2008年03月11日 09:44
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